numero317
東京から帰郷して開業を進めていた頃に見付けたBARがありました
JazzBARオスカー
駅前で飲み会がある時には最後一人で抜け出して立ち寄っておりました
Barとは言っても「Jazz」の名の通り、音楽を聴くのがメイン。
ここではお酒を飲むより珈琲を飲むのが正解
元々はjazz喫茶をやっていたらしく、
Barにあるようなアルコールメニューはあまりなかったのもあって
田辺では珍しく地下に店がありましたが、
暗い階段を下りていると「ズンズン」と腹に響く音が聞こえてきます
*ハンパない音漏れ。。。
階段を降りきった直ぐにある木の扉を開くと「ここはクラブか?」と思うような大音量でJAZZが流れ、
大体いつも奥の席に一人か二人、初老の男性が座っていました。
店主に会釈で挨拶して席に座ると、
少し間があって「お~!」という笑顔で返してくれます。
そして背面の棚からタバコを探して取り出し、無言で差し出してくれます
普段タバコは一切吸わないのですが、何故か唯一ここでだけふかしておりまして
ここに行く途中のコンビニで都度購入しては残りを店主に差し上げていました。
それを話すといつからか店で「煙草キープ」してくれておりまして
(葉巻ならカッコよかったのですが泣)
何も言わず出してきてくれたおりました
注文した珈琲を入れてくれている間に煙草をふかし、
リクエストするCDかレコードをファイルで探します
*CDやレコードは手書きで番号がつけられてファイリングされています
カウンター背後の大きな棚には、BARであれば本来様々な酒が並べてあるのでしょうが、
ここでは膨大な量のCDが並べてあります
加えて、入りきらないCDはカウンター横のスペースに積まれ、
天井まで届く大きな造作棚の中には大量のレコードがぎっしり。
その横に鎮座するのは確かマランツの年代物のレコードプレイヤーとCDプレイヤー
そして子供の背丈程ある大きなスピーカー。
相当こだわった音響環境だと素人でも分かります
自分はよく「キース・ジャレット」をリクエスト
店主もキース好きらしく、
「ワシな、
キースのコンサートの時にツテで楽屋に入らせてもらって握手したことあるんやで」
なんていうエピソードを話してくれたり、
「キース好きならこのレコードかけたるわ!どこにあったかな、、、お~コレこれ!
これな、かなり珍しいんや~」
なんて言って貴重なレコードをかけてくれたり
「このCDもええぞ~聞いてみるか?」
と、オススメのミュージシャンを教えてくれたりと
なかなか大人な時間を愉しんでおりました
が、
ある日いつものように暗い階段を降りていてもあの音漏れが聞こえない?
店の扉には
「店主、体調不良の為しばらく休業いたします」
という張り紙が
当時で78歳?だったかな?
脚も痛そうだったし、煙草もガバガバ吸っていたし、お酒もがぶがぶと。。。
お世辞にも健康そうには見えなかったし
「もうそろそろアカンかな~(笑)」と口癖のように言っていたので、
入院でもしたのかな、、、
と思って再開するのを願っておりました
それから何ヵ月が行く機会が無く、次に扉の前に行った時には
「店主体調不良の為、閉店しました」と張り紙が
ぼけーと音楽を聴いて煙草をふかしてみたり、
店主と話してみたりと、あの大人な時間が好きでしたが
あれからもうオスカーの前には立っていません
風の噂では「店主は娘さんの住んでいる大阪の施設に入所している」
と聞いております
やはり誰も店の跡継ぎはいなかったようです
積まれたあの大量のレコードやCD、どうなったんだろう
70代後半にして白髪のロン毛
ロックなキャップを被って破れたジーンズ履いた笑顔の印象的な爺さん
まだ生きているかな。。。
犬の散歩の途中でどこからかタバコの香りがしてきた時
まだ数本残っていたはずの「わだ」と書いてキープしていたメビウスと
ロックなJazzBARオスカー
そしてファンキーな店主を思い出しました
あんな場所がまた近くに出来るといいな
ふうむ


